導入事例のROIを上げる超簡単な対策|3つの方法でオリエンを改善する! | MOTION.net

導入事例のROIを上げる超簡単な対策|3つの方法でオリエンを改善する!

B2B企業の導入事例動画や記事の制作を、25年程前からお引き受けしてきています。初めは大手外資系のITベンダーがクライアントでした。その後、クラウドを活用したSaaS系サービスのB2B企業が続々と誕生。その多くがマーケティング施策として導入事例に取り組んでおり、当社も多くのクライアントの導入事例制作に携わっています。そして、その立場だからこそ感じている導入事例制作の課題点があります。

そこで制作会社の視点で、「ここを改善すればROIの高い導入事例になる」という改善提案をしたいと思います。その第一弾は、すぐ着手でき簡単に進められる「オリエン工程の改善」です。たった3つの方法でオリエンは劇的に改善でき、導入事例コンテンツのROIを大きく向上できます。

オリエンを改善する方法 ❶オリエンシートの導入

オリエン(オリエンテーション)は導入事例の制作開始時に、発注元のクライアントと制作スタッフが情報共有をする最初のステップです。キックオフミーティングと呼ぶこともあります。

このオリエンが意外とないがしろにされています。すでに導入事例コンテンツを制作してきているクライアントでも、「ダメなオリエン」なことが結構あります。逆に言えば、改善点の宝庫です。

ダメなオリエンとは

ダメなオリエンの典型例は、マーケティング担当から制作スタッフに、簡単なメモで概要だけが伝えられるものです。具体的には、取材テーマ(サービス)と取材先、希望納期と予算だけが一方的に伝えられるオリエン。コンテンツの方向性についても、「3分程度のカッコいい動画にしたい」など抽象的に語られるだけのオリエン。そんなイメージです。

そんな情報不足のオリエンは危険です。制作側は「現場対応でなんとかするしかない」と考えているのが想像できます(実は初期の事例制作はそんな感じでした)。

では、どう改善すればよいのでしょうか。第一の改善策は「オリエンシートを作成し情報共有する」というものです。

オリエン時に聞きたい情報とは

では、どんな内容をオリエンシートに記載すればよいでしょうか。当社なら、以下のような項目を教えていただくようお願いします。

 ◯ 取り上げるテーマ(製品やサービス)についての情報

 ▢ 取材先顧客に関する情報

 ▢ 取材先顧客のサービス導入と活用についての情報

 ▢ インタビュイー候補の情報(名前や肩書、導入・活用に関わる立場)

 ▢ インタビュー場所候補/インタビュー以外の撮影項目と場所候補

 ◯ 動画のコンセプト・訴求ポイント・表現のトンマナ

 ◯ or ▢ 希望納期・撮影時期

 ◯ 予算・仕様

各項目の文頭に◯や▢をつけました。これは「どなたにお聞きするのがよいのか」を経験に基づいて割り振ったものです。◯が発注窓口となるマーケ担当者が示すべき項目、▢が取材先(顧客)と接点を持つ営業やカスタマーサクセス(CS)から聞き出す項目です。

導入事例は「お客様のケーススタディ」です。だから、▢項目が多くなるのは当たり前なのですが、その情報が事前に共有されることは意外と少ないのです。

上記項目を具体的に記入できるオリエンシートのひな形をご用意しました。 以下URLにアクセスしてご入手ください。

オリエンを改善する方法 ❷オリエン参加者の拡大

取材先である顧客を知る営業やCS担当者から情報を得て、オリエンシートに記載する。それだけでも導入事例コンテンツの質は上がると思いますが、もう一歩進める方法があります。

それが第二の改善策、「オリエンを関係者が一堂に揃い打合せをする場にする」こと。つまり、オリエンの参加者を拡大することです。具体的には、発注窓口のマーケティング担当者と受注側の制作スタッフだけでなく、オリエンシートの作成のために顧客情報を出してくれた、営業担当者やCS担当者も加えてオリエン打合せをするのです。

営業やCSとの対話が情報を豊かにする

顧客の側に立つ営業やCSの担当者がオリエンに参加するのは、導入事例コンテンツの質の向上に直結します。なぜなら、営業やCS担当などが持つ詳細の顧客情報やリアルなエピソードは、企画や構成の立案にとても役立つからです。

例えば、効果的なコメントを引き出せるインタビュイー候補は誰か、顧客を魅力的に表現できる場所はどこか、導入いただいたサービスを駆使していることを表現できるシーンは何か…。同席した制作スタッフも具体的な質問を繰り出すでしょう。オリエンシートを基にした双方向のコミュニケーションで、情報はより豊かになります。それらの情報があれば、撮影項目のリストアップやインタビュー時の質問項目作りも、クオリティ高くスムーズにできます。

全員参加オリエンは効率化にもつながる

この全員参加型のオリエンは制作プロセスの効率化にも貢献します。全員の理解を擦り合わせて意思を一致させることで、顧客への依頼事項が具体化でき、それにより交渉が格段にスムーズになるのです。

営業やCSの担当者は立場上、取材に際しての顧客の負荷を最小限にしたいと考えるのが当たり前です。情報や意識の共有が十分でないときは、「取材時間はできるだけ短くしたい、出演者はできるだけ絞りたい」となりがちです。

でも狙いや意図が共有できれば、配慮の内容や質は変わります。取材を受けてくれた顧客側のメリットも意識しながら、「もう一歩踏み込んだ取材をお願いしてみる」という発想が生まれたりします。

例えば「オフィス内の撮影はNG」と思い込んでいたものが、「当社にとってもアピールに繋がるから」と、機密情報への配慮方法を協議した上で了承いただくこともあります。

オリエン打合せの席でニュアンスの擦り合わせができれば、営業・CS担当者の方から、交渉に向けての具体的準備や文書作成等の依頼をもらうこともできます。

オリエン打合せは「オンラインで1時間だけ」でも構いません。関係者のスケジュール調整は大変ですが、この1時間が導入事例コンテンツのROIを大きく変えると断言します。

オリエンを改善する方法 ❸資料は事前に共有

オリエンの改善策の3つめは最も簡単です。それは、オリエンシートを事前にメール共有することです。

オンラインでの打合せが増えた昨今は「資料を画面共有します」となることが多いのですが、細かい文書をモニター画面経由で、初見で理解するのはそもそも難しいものです。

でも、それ以上に問題なのは、事前に下調べや予習ができないということです。下調べや予習ができずに初見で資料を画面共有する場合は、必然的にオリエンは情報を聞くだけになり、考えを擦り合わせたり深めあったりする場にはなかなかなりません。

オリエンがリアルかオンラインかに関わらず、情報は事前に共有してください。可能なら2~3日前、それが難しければ前日でも構いません。その時点ではオリエンシートに空欄があっても構いません。事前情報に求められることは完成度ではありません。

オリエンの数日前に一定の情報が記入されたオリエンシートが共有できれば、私たち制作スタッフはシートを読み込み、下調べをしてオリエンに臨めます。御社の営業・CS担当者も、情報に不足や齟齬がないかを事前に確認できるでしょう。

そうすることでオリエンは、企画についての意見交換や取材方法や表現の検討の場に変わり、価値がずっと高まります。下調べをしてこない制作スタッフは問題外です。発注先の変更が必要かもしれません。

まとめ

導入事例コンテンツを制作することは、マーケティング担当者にとって日常的業務でも、営業やCSの担当者にとっては頻繁に関与することではないかも知れません。だから情報共有や議論のレベル合わせなどに、手間の掛かることもあるでしょう。

でも、事例コンテンツが掘り起こしたリードを顧客に育てあげるのは営業担当者ですし、事例コンテンツを通して開拓した顧客を支援するのはCS担当者です。だから営業やCSの担当者が、事例コンテンツの質向上へのヒントをくれることは結構あるとお聞きします。私たち制作スタッフの立場でも、示唆に富んだアドバイスを得ることは多々あります。

効果の出る事例コンテンツにするために、オリエンシートを活用しながら、まずオリエンの改善に取り組んでください。

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