集客力をアップし商談を生む!展示会での動画活用の傾向と対策 | MOTION.net

集客力をアップし商談を生む!展示会での動画活用の傾向と対策

アフターコロナの時代に入って、リアル展示会への回帰が一気に進んでいます。

そんな展示会では映像・動画を上映するのが今や常識ですが、出展する立場で費用対効果を考えた時、どんな映像・動画を制作すべきか悩ましいのではないでしょうか。

そこで今回は、中規模以下の小間数での出展をお考えの企業に向けて、ブースへの集客と商談獲得につながる映像・動画活用を、映像制作のプロが解説します。

映像・動画活用のパターンは大きく3つ

仕事柄、かなり頻繁に展示会へ足を運んでいます。

そこでの体験で言えば、どんな種類の展示会でも賑わっているブースには共通点があります。それは映像・動画を“戦略的”に活用していることです。たとえ中規模以下の小間数だとしても、それは同じです。

その活用パターン(活用フェイズ)は、大きく3つにまとめることができます。

発見してもらうための映像・動画活用

活用パターンの第1は、自社のブースを発見してもらい、ブースに誘引するという「集客フェイズ」での映像・動画の使い方です。
ポイントは、メッセージを届けたい顧客候補の視線をキャッチする映像であることです。

ブースの前面にモニターを据え、映像・動画を流す出展社は多くあります。
しかし既存の長尺で地味な商品・サービス紹介動画を上映しているブースは、集客面に成功していないケースが多いのようです。

では、このフェイズで力を発揮する映像とはどんなものなのか。おすすめするのが展示する商品・サービスの「魅力のチラ見せ」です。

映画の予告編(ティザー)に例えることもあります。「本編が見たい=ブースを訪ねたい」と思わせる映像です。
もしテレビCMやWeb CMをお持ちなら、その映像を軸に、字幕で来場者に向けメッセージする動画と組み合わせればティザー感は出せそうです。

例えば、ユーザーインタビューや導入事例の動画などが既にあるのなら、各社のハイライト的発言を10〜15秒程度抜き出し、字幕情報を加えながらダイジェスト版を提案することもあります。

いずれにせよ、予算を掛けた派手な演出の映像が必須なわけではありません。
出会いたい顧客候補の視線をキャッチし、「訪問してみるか」と思わせる表現なら、文字だけでデザインした動画もアリだと思います。

興味・関心を喚起する映像・動画活用

活用パターンの2番目は、訪問客がブースに足を踏み入れた段階で見せ、企業や商品・サービスを知りたいと思ってもらうための「興味・関心の喚起フェイズ」での映像・動画活用です。

展示会に出展経験のある方は、来場者に声掛けをするかタイミングで悩むことも多いと思います。
あまり早く声を掛けると鬱陶しいのではないかとか、あるいは、声掛けに躊躇しているうちに競合のブースに移動されチャンスを逃すのではないかとか。

でも、映像・動画ツールを使えば的確な声掛けのタイミングを判断することが可能です。
例えば、商品・サービスをざっくりと紹介した動画をパンフレット等と並べたモニターに流す。その動画を真剣に視聴している来場者なら、声掛けする対象と判断してよさそうだということになります。

この第2フェイズでは様々種類の映像・動画が活用されています。
若い企業がブランディング映像を上映しているケースもありますし、前述したように商品・サービス紹介動画もよく目にします。
また、導入事例動画を流用して上映しているブースもあります。

このフェイズで最近増えてきているのはモーショングラフィックスの活用です。
どんな商品・サービスかを大掴みに理解してもらう動画としては結構効果があり、コストも比較的抑えて制作することもできます。

この第2フェイズの映像・動画も、尺には留意した方がよいでしょう。特に来場者が立った状態で視聴する環境なら、1分から2分程度に収めたいところです。

尺が長い既存動画を流用する場合は、切りのよいところで区切って再編集することをお勧めします。
あくまでも次のフェイズである接客(プレ商談)につなげるためのステップと割り切った映像・動画活用でOKだと思います。

参考にできる佳作として、照明機器メーカー 岩崎電気様の動画をご紹介しましょう。

商談に進展させるための映像・動画活用

そして第3のパターンは、ブース内での接客(プレ商談)フェイズで映像・動画を活用するものです。
この3番目のパターンは、「理解促進」に映像・動画を活用する方法と、「アポ獲得のためのもうひと押し」に映像・動画を活かす方法の、大きく2つが一般的です。
自社の商品・サービス内容やセールスの体制、どんな動線で実商談につなげるかによって、2つのいずれか(または両方)が選択されることが多いようです。

接客(プレ商談)をしながら、PCやタブレットで動画を見せる企業も増えてきました。
例えば大型の機器やITシステムなどをプロモーションするブースでは、「商品・サービスへの理解を促す」ために映像・動画を活用し、具体商談に進展させる方法が取られます。

一方、接客時にデモ説明ができるSaaS系アプリなどは、接客する来場者に合わせて、業種の近い顧客の導入事例を用いて、アポ獲得へのひと押しにする企業も目立ちます。

ただし、このブースでの接客(プレ商談)の段階でも、来場客を拘束できる時間は決して長くないことに留意すべきです。
どちらの方法でも、ダイジェストした動画を見せるとか、動画のさわりを見せながら接客を進めて、本来の尺の動画は自社YouTubeチャンネル等にアップしてURLを案内する方法をお勧めします。

ブースでの接客はあくまでもプレ商談と考え、本商談に進展させるためのステップとして映像・動画を活用してください。

展示会で活用する映像・動画だからこその留意点

展示会はある意味特殊な場所です。

来場者は情報を求めて自ら足を運んでいる一方で、迫り来る情報の波に晒され、できればさっさと退散したいとも思ってもいます。

出展社にとっては、自社の商品・サービスを求める優良な見込み客との出会いの場であると同時に、競合と直に向き合いツバ迫り合いを繰り広げる戦場でもあります。
また集客にはある程度の活気が必須ですが、活気を作るためにしつこく声掛けをしてくる出展社は嫌われます。

そんな特殊な場所だからこそ、上映する映像・動画にも留意すべきことがあります。

音に期待し過ぎてはいけない

展示会場はそもそも騒々しい場所です。また、映像やデモなどで音声を出す場合でも、主催者から音量を規制されることが一般的です。

つまり、BGMも含め、音声が聞こえなくても成立する映像・動画にする方が良いでしょう。字幕も有効活用しながら、映像そのもので訴求する(意味を伝える)と考えることをお勧めします。

尺は短めがよい

展示会に足を運ぶ来場者で、全てのブースをじっくり見て回る人はいません。

多くの方が、「ぜひ訪問したい」と思う出展ブースを目がけて来場し、それ以外のブースは「ついでに見て回る」と考えた方が妥当です。
それゆえに来場者は、偶然出会ったブースは視覚的情報をもとに、一瞬で訪問したいかどうかの判断を下します。
だから、特に集客フェイズの映像・動画は、数秒しか見てもらえないと思って設計した方が良いでしょう。

では、どの程度の尺で制作するべきか。繰り返しになりますが、改めて整理します。

1番目の「集客フェイズ」なら10秒から15秒程度、せいぜい30秒が限界でしょう。
その尺で訴求ポイント別にいくつかのパターンで制作し、ループさせるという上映方法もあります。

2番目の「興味・関心の喚起」フェイズなら、ブース内での上映を前提としても、1分からせいぜい2分程度にまとめ込んだ方がよいでしょう。

3番目のブース内での接客(プレ商談)フェイズの映像・動画でも、接客手法にもよりますが、長尺の映像・動画で拘束するという考えは持たない方がよいでしょう。

前述のとおり、展示会での接客時には短縮版を用い、長尺版の映像・動画視聴への動線を引いた方が、より効果的に実商談へと進展させられるはずです。

映像・動画を3パターン全てで用意する必要はない

展示会での映像・動画活用を3つのフェイズでご紹介しましたが、もちろん3パターン全てを用意する必要はありません。

あるフェイズの映像・動画は既存作を再編集して活用し、予算を別なフェイズ用の映像・動画の新規新作に集中させる方法もアリでしょう。

いずれにせよ「映像・動画に任せる部分」と「人が担う部分」を効果的に組み合わせ、コストパフォーマンスよく活用することが重要です。

まとめ

展示会での映像・動画活用が当たり前になった現状では、その出来栄えが集客につながり具体商談獲得につながると考えて臨むべきです。

来場者視点で考えれば、「さえない動画」を流しているブースにはそそられません。
逆に「刺さる映像」を展開するブースには興味が生まれるでしょう。そこが映像の強みでもあり、怖いところでもあります。

ただし完成度は、あくまでも展示会でプレゼンする自社の商品・サービスありきで設計してください。

大手企業の真似をして背伸びした映像・動画を制作しても、自社の戦略と乖離しては効果を生みませんし、費用面でもムリがあるでしょう。
あくまでも自社の知名度、商品・サービスの特徴やターゲットを見据え、展示全体の中で位置付けた映像・動画の活用で有効なリード獲得につなげてください。