動画を制作することとなり企画を考えなくてはならなくなったけれど、どうしたらいいかわからないとお困りではありませんか?
動画の出来を左右する最初の工程である企画の作業ですが、漠然としていて何をしたらよいかわからない方も多いかと思います。
本記事では自社で動画を企画する方に向けて、映像制作会社である弊社が考える動画制作における企画の方法について紹介しています。
目次
動画を企画するときに考えるべき5つの必要項目
企画とはそもそも何を指しているか、まずはそこから検証していきます。
言葉の意味を調べると辞書にはこうあります。
『ある事を行うために計画をたてること。また、その計画。くわだて。』
デジタル大辞泉
私たちは「企画」という言葉を、まるで「突飛で斬新な面白いアイデアを思いつくこと」を意味しているかのように考えがちですが、実はそうではありません。
「計画を立てる」という極めて本質的なところを指します。
ここから私たちは、動画の企画を出発するのに必要なのは次の5つの項目だと考えています。
- なんのために(目的)
- 誰に(ターゲット)
- 何を(メッセージ)
- どこで(配信媒体)
- どのように(表現手法)
ひとつずつ説明していきましょう。
動画を作るに至った目的は一体何ですか。
「製品の売り上げを伸ばしたい」「就活生を集めたい」「会社のことを知ってほしい」など、様々なはずです。
そういったいわゆるKGI(重要目標達成指標)がそれぞれあるとは思いますが、ここではそれをもっと具体的に言語化してみましょう。
例えば「製品を売りたい」から、「他社製品にはない価値を感じ、納得して製品を愛用してほしい」などに言い換えをします。
具体化をすることで、動画の軸が生まれます。
そして動画の2本目の軸となる点は、「誰に向けて」の部分です。
よく顧客や視聴者を生活スタイルや価値観まで作り込んだペルソナを用意するのがよいと言われています。
視聴者の性別や年代、どんな職についていて、何を楽しいと感じるか、そこまで具体化してようやく視聴者が心を動かされる映像とは何かが見えてきます。
軸をはっきりさせた後は、実際に動画内で何をメッセージするか、その内容を決めていきます。
製品の価値を感じてほしいなら、その魅力をどのように伝えていくかを考えます。
ここでは内容の詰め込みすぎに注意しましょう。
あれもこれもといろいろと言いたくなってしまいますが、情報は一気に受け取れる量に限界があります。
どこで動画を公開するかも企画を立てる際に検討をすべきポイントになります。
なぜなら場所や媒体によって、視聴者が置かれている環境や心理状態が大きく異なるからです。
例えば展示会で流す動画なら、他社製品と比較検討を行うつもりで視聴する来場者が多いでしょう。
製品を差別化するような内容を含まないと、競合に負けてしまうかもしれません。
SNS広告であれば目当ての動画を見る前に流れるので、スキップをされる前に視聴者の心をつかまなくてはなりません。
深く製品を理解してほしいからと言って、長尺で説明をしても最後まで見てくれないことも多いでしょう。
このように場所や媒体を検討しておかないと、視聴している時の心理状態や置かれている環境が、目的や見てほしいターゲットとずれてしまうことを覚えておきましょう。
動画はストーリーを伝えるメディアです。
ストーリーをどんな表現手法で伝えるのかも、また考えるべき重要な項目です。
例えば、ドラマ仕立てや情報番組風、インタビュー、アニメーションなど、様々な手法が存在しています。
コミュニケーションをより円滑にするため、メッセージの主題が伝わりやすい手法を選ぶのがよいでしょう。
企画がパッとしない理由とは
企画の基礎になる5つの項目を紹介しました。
実際にこの項目を検討しているのにも関わらず、なぜか企画がパッとしない、面白くならないと思っている場合は、以下の2点の落とし穴にはまってしまっている可能性があります。
表現手法に囚われる
まず一つ目は「表現手法に囚われる」ことです。
見ていて結局、何を伝えたいかわからない動画になっている可能性があります。
表現手法とは先ほどの5項目の最後にご紹介しています。
動画制作の上で欠かせない部分ではあるのですが、こだわりすぎてしまうと足元を掬われてしまうところなのです。
例えば軸となる部分を吟味する前に、やりたい表現手法を先に決めてしまってはいませんか。
また演出や編集ギミックばかりに気を取られていませんか。
これらの手法やギミックは、視聴者を飽きさせないために重要な要素ではありますが、動画の本質ではありません。
自主制作の映画やアニメならいいかもしれませんが、制作しようとしている企業動画には、顧客に伝えるべき情報が他にあるはずです。
やりすぎてしまったり企画の軸から乖離してしまったりすれば、主題となっているはずのメッセージが伝わりづらくなってしまってしまいます。
視聴者の存在を見失う
二つ目は「視聴者の存在を見失う」ことです。
視聴者の気持ちに寄り添っていない動画、さらには突き放してしまう動画は、視聴する動機を失わせるものになってしまいます。
企業案内や機能説明など、多くの情報を届ける目的で制作される動画にありがちな問題点です。
情報を詰め込むあまり、見ている人にとって不親切な設計になってしまうこともあります。
また他にも、構成された内容が視聴者にとっては興味がわかない切り口になってしまう場合もあります。
これは視聴者が何を求めているのかを検討せず、定番となったストーリーをそのまま流用することが原因で起こってしまうことがあります。
例えば就活生がみる採用広報の動画で「社員の1日」は定番な企画となっています。
しかし惹きつける企画を考えるのなら、本当に就活生は「社員の1日」が見たいと考えているのかから再検討してみましょう。
動画の企画で担当者がやるべきこととは
それでは企画を立てるときに、担当者がすべき心構えを紹介します。
動画をコミュニケーションだと考える
パッとしない企画を作り出さないようにするために持つべき思考は、「動画をコミュニケーションだと考える」ことです。
動画とは発信する企業と視聴者のコミュニケーションのための媒体であると言えます。
その方法は極めて一方通行なため、このコミュニケーションの軸である目的やターゲット、メッセージがぶれてしまうと、一気に独りよがりなものになってしまいます。
担当者はメッセージを伝えたい張本人なのですから、このコミュニケーションの主題について最も深く考え、理解をしているべき人です。
ギミックや手法などの外見ではなく、コミュニケーションの本質を作り込む姿勢で企画作りに臨んでください。
アイデアは根拠から生み出す
いざ動画を装飾する手法や演出などのアイデアが必要な段階になってきたときは、「アイデアは根拠から生み出す」という考えを忘れないでください。
企画のアイデアというと、すごいクリエーターが斬新なものを突然思い浮かぶかのような印象を受けがちですし、そうでなければならないと思ってしまいます。
しかし実際のプロの映像制作クリエーターのほとんどは、そうではありません。
そういう人たちはアイデアをコミュニケーションの軸を根拠として、そこから生み出しています。
ターゲットの興味関心や伝えたいメッセージの要旨を吟味し、そこに寄り添った表現やストーリー、演出を構成していきます。
企画アイデアはなぜそうであるのか、根拠が説明できるものだと考えておいてください。
オリジナルにこだわらない
また企画アイデアについて、もう一つ大事な目線があります。
それは「オリジナルにこだわらない」ということです。
差別化のために目新しい企画を思いつかなければならないと考えてしまうかもしれませんが、そうではありません。
まったく新しいところから何かを思いつくのは至難の業です。
さらに面白く、かっこよくなどと、クオリティを求めるのであれば、なおさら難易度は上がっていきます。
アイデアの作り方同様で、プロも様々な動画作品を見ながら新たな企画の着想を得ています。
優れた作品をたくさん見ることで、発想を豊かにすることも企画をするうえで大事なことなのです。
ここで企画を立てる時に参考にできる優れた作品例として、若手クリエーターや学生が参加する宣伝会議主催の広告動画コンテストBOVAから2つの動画をご紹介します。
いずれも優れた表現手法が際立ちますが、その前提としての「動画を企画するときに考えるべき必要事項」もしっかり押さえられていることがお分かりになるでしょう。
まず、プロの若手クリエーターたちが手掛けた第5回大会のグランプリ作品がこちらです。
続いては現役の大学生たちの作品です。第9回大会学生部門賞を受賞しています。
まとめ
動画の企画について担当者が持つべき視点を解説しました。
動画は発信側の伝えたいことだけではなく、それを見る視聴者がいて初めて成り立つコミュニケーション媒体です。
企業の情報発信もこの姿勢を忘れないようにすることで、動画活用がいままで以上の効果が発揮されるようになるでしょう。